ずるいです……部長。


ふと、部長の心の支えはなんなのだろうと疑問に思うことが増えた。

部長の抱える仕事は膨大で、そのストレスは、計り知れないだろう。

そんなことを考える私は、部長に、恋をしてしまったのだと思う――。


 ◇


「荷物まとめろ。行くぞ」

「はっ……い!?」

「なんつー声出してんだ」

「す、すみません!」


っと……いけない。不意に部長に話しかけられて、ドキッとしてしまった。今は、仕事中だ……!


「高崎部長、行くって、どこにですか?」

「出張」

「い、今からですか!?」


時計に目をやると、時刻は17時過ぎ。


「1本でもはやい新幹線で、京都へ向かう」

「えっ……?」

「ほら。先生の気が変わらないうちに行くぞ!」


わ、私も、ですか?

そんなことを問う余裕など微塵もなく、私は部長を追いかけて行く。


途中、会社のロビーですれ違った同期から

『今日も定時であがれないの?』

なんて囁かれたが、『好きだから!』と二つ返事で答えた私もまた……

部長と同じく、仕事人間になりつつあるのかもしれない。

って、まだまだ、未熟者な新人でしかありませんが。

だからこそ、ガッツで応えたいわけでして。

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