借金取りと私の関係【完】
「こんな理由でアンタの側にいちゃダメだと思った。でも…」



「…でも?」



「我慢なんて、利くわけねーよ」



色っぽく、そして悪戯に微笑んだ黒崎さんは、私の頭に手を置き、



「今日はここ奪わせてもらうかな」



心の準備も何もできていない私の唇に、そっとキスをした。



ドキドキと鳴る心臓は、きっと黒崎さんに届いている。



合わさった胸から、黒崎さんの少しだけ早い鼓動が伝わった。



その音に安心して、静かに目を閉じる。



ポロッ、と最後の一粒の涙が、頬を流れ耳の横に落ちていった。
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