年下彼氏からのサプライズ
「まずは夜景でも見ながら、ワインを飲もうよ」


夜景でも.......、見ながら?


私の棒読みにはいつも通り気づかず、嬉しそうに氷水につかっていたワインボトルを取り出した彼の言葉に、思わずふきだしそうになってしまった。

だって、普段なら絶対そんなこと言ったりしない。


「夜景でも見ながらって......。
本当にどうしちゃったの?この部屋は何?」

「何って、クリスマスだし......」


疑問に思ったことを率直に聞くと、目を泳がせる彼。


「キリスト教徒でもないのに、クリスマスを祝うなんて、企業戦略にのせられてるだけだって言ってなかった?」


他のイベントごとも大して興味を示さないし、去年のクリスマスも彼は仕事だったから、特別何かやったりはしなかった。

それなのに、今年は一体どうしちゃったの?


「そのことだけど、考え直したんだ。
企業戦略にのせられるのも悪くないかなと。いや、のせられるべきなのかもしれない。日本人の多くが将来を考えて、貯蓄にお金を回すけど、そもそも日本経済全体を考えた場合では、お金を使わずに溜め込むよりも使った方が経済は潤うし、それに」


......また始まった。
いつものやつが。




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