副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「副社長は、お兄ちゃんが家を出た理由も知ってたんですか?」

「だいたいは知ってたよ。でも、千紘から口止めされてたし、俺が言ってもきっと信じられなかっただろうから……」


彼がそう言い、信じられないような理由っていったい何?と眉をひそめた時、インターホンが鳴る。

「早いな」と独り言を漏らし、応対する副社長。どうやらコンシェルジュからの連絡らしいけれど、モニターに写った人物は久々に見るお兄ちゃんだ。

その表情は、ものすごく険しい。顔を見られて嬉しいけど、明らかにご機嫌ナナメだ。

微妙な顔をする私に、副社長は「何があったのかは、本人から聞け」と言い、ぽんと肩に手を置いた。

そうね、洗いざらい吐いてもらわないと!


副社長は鍵を開けると再びソファに座り、私もその隣でお兄ちゃんを待ち構えていた。

ほどなくしてやってきた彼は、一度インターホンを鳴らし、遠慮なくバーンとドアを開け放つ。


「瑞香!」

「お兄ちゃん!」


スーツケースを玄関に放置し、一直線にリビングに向かってくる彼と、跳ね上がるように立ち上がる私。そして、お互い見つめ合い……。


「なんで朔也さんの部屋にいるんだよ!?」

「なんで一年以上も帰ってこなかったのよ!」


同時に口を開いて文句を叫び、感動の再会には至らなかった。

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