副社長とふたり暮らし=愛育される日々
三嶋さんはファイルや資料を抱えながら、あっけらかんとこんなことを言う。
「まったくの素人をイメージモデルに起用するなんてこと滅多にないもの、何か裏があると思うじゃない。だから、あなたにあんまりいいイメージがなかったんだけど、ただの甘ちゃんモデルじゃなさそうだってわかった」
今度キョトンとするのは私の番だった。
今の言葉からすると、少しでも私自身を認めてもらえたと思っていいのだろうか。
三嶋さんは正直で、実はとても柔軟な性格なのかもしれない。
前回彼女に抱いた、冷たそうで手厳しいイメージも変わってきて、私は自然と笑みがこぼれていた。
ミーティングルームの中には、いつの間にか私たち以外誰もいなくなっている。ドアに向かってふたりで歩き出すと、三嶋さんが口を開いた。
「私たちが否定的だったのは、それだけじゃないわ。前にも一度沈丁花の香水を作ろうって話が持ち上がったけど、断念したことがあるからなのよ」
「そうだったんですか?」
初めて知った事実に目を丸くする私に、彼女はゆっくり歩きながら詳しく教えてくれる。
「Mimiを立ち上げた頃、副社長が『作れないか?』って言ったんだけど、同じような理由でやめたの。あの頃のこの会社には、冒険する余裕はまだなかったから」
「副社長が……」
「まったくの素人をイメージモデルに起用するなんてこと滅多にないもの、何か裏があると思うじゃない。だから、あなたにあんまりいいイメージがなかったんだけど、ただの甘ちゃんモデルじゃなさそうだってわかった」
今度キョトンとするのは私の番だった。
今の言葉からすると、少しでも私自身を認めてもらえたと思っていいのだろうか。
三嶋さんは正直で、実はとても柔軟な性格なのかもしれない。
前回彼女に抱いた、冷たそうで手厳しいイメージも変わってきて、私は自然と笑みがこぼれていた。
ミーティングルームの中には、いつの間にか私たち以外誰もいなくなっている。ドアに向かってふたりで歩き出すと、三嶋さんが口を開いた。
「私たちが否定的だったのは、それだけじゃないわ。前にも一度沈丁花の香水を作ろうって話が持ち上がったけど、断念したことがあるからなのよ」
「そうだったんですか?」
初めて知った事実に目を丸くする私に、彼女はゆっくり歩きながら詳しく教えてくれる。
「Mimiを立ち上げた頃、副社長が『作れないか?』って言ったんだけど、同じような理由でやめたの。あの頃のこの会社には、冒険する余裕はまだなかったから」
「副社長が……」