副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「副社長……どうしてこんなことをしてくれるんですか?」


気持ちはありがたいけれど、彼の意図が謎すぎて何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまう。

思いっきり怪訝な目で見やると、副社長は余裕の笑みを携えてこんなことを言う。


「俺がこうしたいと思ったから」


……答えになっているようでなっていない!

私はムッと顔をしかめ、彼に詰め寄る。


「そんなんじゃ納得できま──」

「ひとりで寂しかったんじゃないのか?」


私の言葉に被せて、胸を突くひと言を真剣な口調で放たれ、ギクリとした。

さらに、こちらにすっと手が伸ばされたかと思うと、親指が私の目の下から頬のあたりを撫でる。

ぞくっとするけれど、嫌ではない感覚を覚えると同時に、しまったと思った。もしかしたら、涙の跡がついていたのかもしれない。


“ひとりで寂しかった”

……それは見事に当たっていて、言い返すことができない。

大事な日を一緒に過ごす相手がいないからという単純なものじゃなくて、この寂しさはもっと心の奥に巣くっているような気がする。

両親も、祖父母もいなくなって、ついにはお兄ちゃんまでもがいなくなってしまった。私は本当にひとりなのだと実感すると、寂しくてたまらない。

愛情が欲しい。ぬくもりが欲しい──。

これは七恵や、芳江さんでは埋めてもらえない類のものなのだ。

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