副社長とふたり暮らし=愛育される日々
恋人にでもなったような気分でキュンとしていると、副社長は前を見たまま、こうつけ加える。


「俺がお前を喜ばせようとしてるのに、ほかの奴のこと考えられちまってたら悔しいから」

「あ、あぁ……!」


なんとなく意味を理解して、そういうことですか、とぎこちなく笑いながら頷く。

けど、やっぱり副社長が抱いているのは独占欲の一種なんだよね? そう思うと気恥ずかしいような、嬉しいような……。


微妙なもどかしさを感じつつ、流れる景色に目を向けると、いつの間にか高速に乗っていた。どうやら東京方面を目指しているらしい。

いつも混み合っている首都高を走りながら、副社長が何気なく問う。


「瑞香は今日で何歳になったんだ?」


履歴書を見て誕生日まで覚えてくれていたのか、と驚きつつ、自然に名前を呼び捨てで呼ばれて胸が鳴った。

でもこれだけのことで動揺するまいと、私は平静な顔で答える。


「二十五です」

「俺と十歳も違うのか。若いな」

「副社長は今三十五歳なんですか。すごいですね、その歳で会社役員だなんて」


私は運転する彼に目を向け、心の底から感心しながら言った。

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