副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「……明智のことが気になるか?」

「えっ!? いえいえ、決してそういうわけでは!」


うわ、ちょっと明智さんの名前を出しただけでそう来るとは!

手と首をぶんぶんと振って否定すると、副社長は前を見たままクスッと笑みを浮かべる。


「あいつは見た目冷たそうだし、カリカリしてる時多いけど、実はいい奴なんだよ。仕事も抜かりなくて頭もキレる。なのに、なかなか彼女ができないから、誰か紹介してやろうかと思ってるんだ」

「そうなんですか」


確かに明智さんもキレ者っぽかったけど、そういえば副社長は、『モテないぞ』なんて失礼なことを言っていたっけ。心配しているみたいだけど、優しいんだか嫌味なんだか……。

私は苦笑しながら相槌を打っていて、はっとした。

まさか、今日はご機嫌取りをしておいて、私を明智さんに紹介させようとしている、とか……!?

そんな考えが一瞬浮かんだものの、「でも」と続ける副社長の次のひと言で、杞憂に終わる。


「その話は置いておこう。今、お前にはほかの男のことを考えさせたくはない」


──ドキッ、と一際大きく心臓が跳ねた。

そ、それって……イコール“俺だけのことを考えてろ”的な? なぜそんな独占欲を露わにしたようなことを!?

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