副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「普段の表情も可愛くなったっていうか、ピンクのオーラが醸し出されてきたなって感じがするのよ。だから芳江さんって人も、彼氏がどうのこうのって言ってきたんじゃない?」

「そ、そう……なの?」


自分では何も変わった気がしないからわからない。けれど、皆がそう言うということは、私にも女らしさみたいなものがプラスされてきたのだろうか。……副社長のおかげで?

考えてもよくわからなくて首をかしげていると、七恵は興味津々な様子で聞いてくる。


「で? どうなのよ、同居生活は。実際男と女がふたりで住んでて、何もないなんてことあるの?」

「あるよ。副社長は野獣じゃなくて飼い主だから」

「……その主従関係のほうが逆に危ない気がするのは私だけ?」


微妙な笑みを浮かべて言う七恵だけど、一緒に暮らし始めて三週間が過ぎた今も、私たちの関係は特に変わらない。

私は居候させてもらう代わりに、ご主人様のために家事をして尽くす飼い猫。それはきっと、この生活が終わるまで変わらないだろう。

……まぁ、副社長は『猫の世話も怠らない』と言った通り、私のことをかまってくれるのだけど。

最初は有名なスイーツを買ってきてくれたり、一緒に映画を見てくれたり、という家族サービス的なものだった。それが、日に日に親密になってきているような気はする。

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