その灯火が消えるまで

「…………バカ?」

「そうだよバーーカ」


むっ。


「灯理。貴也、頭いいんだよ」

「えっ?ゆうちゃんより?」

結灯に話しかけられると、
コロッ、と雰囲気が変わる。


「ううん。でも、私といつも10点もちがわないよ」

「…………」

灯理は無言でショックを受けている。

こいつ、クールなわりに結灯のそばだと
分かりやすい奴だな。


……まあ、結灯にそんなこと言われても慰めでもなんでもない。


結灯は、万年1位。

しかも落としても2点、3点……つまり、900点中の897点とか、そんなレベル。


俺はけっこう必死に勉強してる方なんですけど。

東京にいた頃よりも。



なのに!

6月に引っ越してから12月現在まで、
一度も勝てたことがない。


これはもう、恋情抜きに、
結灯が憎い。


いつか絶対に勝つ。


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