王様男と冷血男の間で
キング参上!
真蔵は20歳の誕生日に自分に婚約者がいる事を知った。

お互いの孫を結婚させようと祖父達が勝手にした約束だった。

真蔵は頭が良く常に首席で
スポーツも出来た。

女の子達は真蔵に憧れていたが
真蔵はある一人を除いて誰も寄せ付けなかった。

真蔵には円の存在を知る前に好きな女の子がいた。

しかし彼女が選んだのは真蔵ではなく、
その失恋が原因で真蔵は冷たく真面目でお堅い男になった。

そんな時、祖父から円の事を告げられたのだ。

真蔵は始めは納得出来なかったが
失恋したばかりで自暴自棄になっていた。

当時中学生だった円を恋愛対象には見れなかったが
気になって偶然を装い、円と話しをした。

その事を円は知らない。

そして5年後、円と再会する時がやってきた。

しかし円は真蔵を認めず
結婚する事を嫌がっているようだ。

真蔵はそんな円に意地悪したくなった。

顔合わせの日から時々円とデートすることにした。

お互いをよく知るためだと真蔵から提案した。

円は父の会社が危ないと知り、
真蔵の祖父を裏切ることが出来ない立場の人だと悟って嫌々ながらも真蔵と会うことに同意した。

真蔵とは毎週日曜日にデートすることになった。

円はこのまま恋愛も知らずに冷血男に嫁ぐのは嫌だと平日は遊びまくることを決意する。

そして円は人気のクラブに友達の麻耶と通い始めた。

「ここの常連にすごいカッコいい人いるんだよ。
みんなキングって呼んでるんだけどね…
今日来るかなぁ?」

麻耶は円とは違ってかなりの遊び人だ。

彼氏がいながらクラブに通い、
時には一夜限りの恋をしたりしている。

見かけ倒しの円とは違って恋愛の達人だ。

円は麻耶のように沢山恋をして悔いのないよう楽しんでから
奴隷のような結婚をしようと思っていた。

生涯あの男しか知らずに生きていくなんてどうしても嫌だった。


「キャァ〜〜!キングよ!」

「カッコいい〜〜!」

入り口の方から悲鳴に近い歓声が聞こえ
女の子たちのテンションが上がりだした。

キングと呼ばれるその男は
背の高いオシャレなため息が出るほどのイケメンだった。

円とすれ違った時、すごくいい匂いがして
一瞬目が合うと円を見て微笑んだ。

円はずっと前にその微笑みをどこかで見たような気がしたが
こんなイケメンに会った記憶などない。

キングはVIP ROOMに通され
その部屋に女たちが群がるように挨拶に行く。

だけどキングの隣には誰も座れず
挨拶だけで終わってしまう。

キングは踊りもせず
上からホールを見下ろしながらお酒を飲んでいるだけだ。

そして1時間もすると帰ってしまった。

その様子をずっと見ていた円は
一瞬でキングに恋をした。

「麻耶、決めた!私、キングと恋をする!」

そしてその日から円のキングへの猛アタックが始まった。





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