王様男と冷血男の間で
接近!
円はその日から足繁くクラブに通った。

色んな男に声をかけられたが円の目的はキングただ一人だ。

「円、高望みし過ぎだよ。

キングは特定の女の子と恋したりしないんだよ?

このままじゃ誰とも恋愛出来ないままお嫁に行くことになるよ。」

麻耶は適当に見た目のいい男の子を見つけて席に呼んで円に紹介した。

「イケメン連れてきたよ。」

「こんばんはー。」

「円、健太君と龍一くん。
カッコいいでしょ?」

確かにカッコはいいが…軽そうでキングみたいなカリスマな感じが全くしない。

円は一緒の席で飲んでいてもキングの事しか頭になかった。

「ちょっと踊って来る。」

麻耶が健太と踊りに行って
円は龍一と2人きりになった。

「円ちゃん、2人で消えない?」

龍一は何となく危険な感じがする。

「悪いけど私、人を待ってるの。」

「人ってキングだろ?」

「知ってるの?」

「ここでキングを知らない人は居ないよ。

でも…待っても無理だよ。

キングには決まった女の子がいるんだ。」

円にとってそれは初耳だった。

「ど、どんなコ?」

「その子はクラブには来ないから
実際に見た事無いけど…
キングはその子の為に他の女と遊んだりしないんだよ。」

それでも円はどうしてもキングを諦めることが出来なかった。

しかし龍一は強引に円と2人きりになろうとする。

「円ちゃん、遊びたいんでしょ?
だったら楽しまないと…」

嫌がる円の手を引き、外へ連れ出そうとすると

「嫌がってるだろ?」

とドアの前で龍一の腕を突然誰かが掴んだ。

サングラスをかけて居たが円にはすぐにわかった。

(キ、キングだ!)

龍一は腕を捻られ痛がって逃げて行った。

「大丈夫?」

「キ、キングですよね?」

「みんなそう呼ぶね。

もう帰るの?」

「ううん、貴方を待ってたの!」

「へぇ、俺をねぇ。

じゃあ、一緒にもう一度入るか?」

キングが円の手を取ってクラブの中に入ると
悲鳴が上がった。

「キングが来た!」

「きゃー!…てか隣の女は誰?」

「キングー!こっち向いてぇ!」

「あの子誰?」

麻耶と健太はキングの隣にいる円を見てビックリした。

「あのコ、麻耶の連れの女の子じゃない?」

「まさか、円?
あり得ないんだけど…」

麻耶は円に声をかける。

「円ぁ!」

円が麻耶に手を振るとキングが

「友達?」

と聞いた。

「はい。」

「名前、マドカって言うんだ?」

「は、はい。キングは何て言う名前?」

「秘密。

じゃあ、ここでお別れだ。

友達と楽しんで。

またな。」

そう言ってキングはいつものVIP ROOMへ入って行った。

円はますますキングが好きになった。

その夜は興奮して眠れなかった。





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