王様男と冷血男の間で
結婚準備と事件の幕開け
その夜、真蔵と円は手を繋ぎ同じベッドで眠った。

真蔵は結局円に手は出せず、
円は無事に帰ってきた。

麻耶と洸太は帰りもイチャイチャしていて
円は当てられっぱなしだった。

「良かったな。

お前のお節介は役に立ったみたいだな。」

「うん。」

「俺たちも早く結婚しような。」

「うん。」

そして円と真蔵は結婚の日取りも決まり、
結婚式向けて準備に入った。

真蔵は役所を辞めて
祖父の会社に入ることになった。

結婚前に会社に入ることは祖父との昔からの約束だった。

会社に入ると忙しくて
結婚の準備もなかなか進まない。

円のドレスの試着にも真蔵は来られなくて
円はどんどん不機嫌になった。

円に任せきりで悪いとは思っても
真蔵は会社に入ったばかりで大変な時期だった。

父親は平社員から仕事を始めさせ
周りは真蔵が会長の孫で社長の息子とは誰も知らなかった。

「円、ごめん。今日の打ち合わせも行けなくなった。」

円は不機嫌でも大変な時だとわかっているので無理を言えなかった。

「わかった。

お義母さんとママに引き出物決めてもらうから。」

「うん。悪いな。」

円の不機嫌はピークに達して爆発しそうになる。

「麻耶!クラブ行かない?」

「は?どうしたの?」

麻耶は洸太と仲直りしてからクラブには行かない約束をしてる。

「いや、私はパス!洸太に怒られるし…宗にも何となく会いたくない。」

「わかった!じゃあ一人で行く。」

「ま、待って!一人じゃ危険だよ。

しょうがないなー。じゃあたまには違うクラブいこうよ。」

「うん。」

そして麻耶と新しい最近出来たばかりのクラブへ遊びに行った。

「ここさ、新しくできたんだよ。

一回来てみたかったんだー。」

麻耶はノリノリで踊りに行く。

踊ることが苦手な円も今夜は踊ることにした。

ところが軽い気持ちで遊びに行った円に
この夜、大変な事件が巻き起こる。

それはこの男とこのクラブで出逢った事がキッカケだった。

「え?円ちゃん?」

「あ!」

そこに立っていたのは義政だった。

円は義政と席に戻って話をした。

「どうしたの?こんなとこ来て大丈夫?」

「あ、うん。何かムシャクシャしちゃって。」

「キングと?」

「実は…3月に結婚する事になったんだけど…

全然協力的じゃなくて、なんか結婚とかどうでも良いのかなって思っちゃってさ。」

「相変わらずあの人は円ちゃんを不幸にしてるんだな。」

「不幸ってわけじゃないけど…」

「とにかく楽しもう。今夜はゆっくり嫌なこと忘れて盛り上がろう!」

「うん。」

明るくてポジティブな義政は円を元気にしてくれる。

円はそんな義政にのせられて
いつもより飲んで踊って騒いだ。

そしていつの間にか酔って記憶を無くし…
気がつくと義政のアパートにいた。






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