王様男と冷血男の間で
そして夫婦になる
式は順調に終わり
思えばお見合いした時から紆余曲折あったけど
晴れて円と真蔵は夫婦になった。

披露宴と二次会も終えて
ようやくホテルで2人きりになる。

「これから家族なんだよね。」

円がしみじみとそう言うと
真蔵は昔話を始めた。

「20歳になって初めて婚約者がいるって聞いた時…
俺はかなり弱っててさ。
謙蔵が死んで…柚月が消えて…
本当に辛い時に爺ちゃんに言われたんだ。

許嫁がいるって。」

そして真蔵は円をこっそり見に来た事、
自転車で転んだ円と少しだけ話した事を打ち明ける。

「え?あの時のお兄さんが真蔵だったの?」

「覚えてるのか?」

円は突然の告白に目を白黒させてビックリしている。

「覚えてるも何も…あの時のお兄さんが私の初恋なの!」

「え?」

「すっごくかっこよくて優しくて素敵だなぁって…

あれが真蔵?」

真蔵も何が何だかわからない感じでただ頷いた。

「そう…だけど…」

「うっそー‼︎‼︎
嘘みたい。
私、あれからあのお兄さんのこといつも探してた。

どこかで逢えるかなって。
あの人が真蔵なんて…ふふっ…何か不思議。」

そして真蔵の姿をいつも街で探してた事や
あれから好きな人がなかなか出来なかった事をうちあける。

「俺たちってあの時すでに運命感じてたんだな。」

円はすごく興奮して喜んでいる。

真蔵はそんな円が愛しくて思わず抱きしめた。

「真蔵?」

「これから幸せになろうな。」

「うん。」

そして初めての夜を迎えた。

しかし円にはまだ聞きたい事がある。

「真蔵…キングに変身してた時、
誰かに追われてたよね?

あの人たちって何?」

真蔵はキングになった話を始めた。

「キングは昔…謙蔵だったんだ。

俺があいつに変わってあいつを演じた。

あいつみたいに自由に生きたくて…

俺よりずっとモテて…
カッコよくて…いつも中心にいるような華やかな謙蔵が羨ましくて…

でも柚月との事で謙蔵の世界は一変したんだ。

爺ちゃんは変わってしまった謙蔵を受け入れられなかった。

だから謙蔵に成りすました俺が夜な夜な遊んで
あいつみたいに落ちてくんじゃないかって心配したんだろうな。

常に俺を監視させてたから
クラブに現れる俺を連れ戻すために爺ちゃんが人を雇ったんだ。」

謙蔵のことは今でも真蔵の家族全員の傷だ。

「私があのクラブで謙蔵さんに会ったら謙蔵さんに惚れてたんだね。」

真蔵はすこしムッとして言った。

「お前は最初から俺だったんだ。

爺ちゃんが子供の頃お前に俺たち2人の写真を見せて
どっちがいいかって聞いたら
お前は俺を迷わず指差したらしいぞ。」

「嘘?」

「本当。だからお前は最初から俺と結ばれる運命なんだ。」

そして2人はこれから長い歳月をかけて
本当の家族になっていく。

冷血男の真蔵は王様になることを辞めて
円によって魔法が解けたみたいに
明るく温厚になった。

そして円は他の男との恋愛に憧れた事もあったけど…
結局生涯真蔵1人を愛しぬいた。





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