王様男と冷血男の間で
いざ、結婚式へ
結婚式2日前に円は家に戻ってきた。

帰るなり母親がいきなり円の頬を叩いた。

「こんな無責任なことしてどういうつもり?」

ビックリした父親が母を止めた。

「お、おい⁈
帰ってきたんだからとりあえず話をしよう。」

「結婚…式場はどうなった?

キャンセルしちゃった?」

母は怒って円を睨みつけて何も言わない。

「真蔵君に任せたんだ。

キャンセルも招待客への連絡も…ギリギリまで待って、
真蔵くんが自分ですると言ってた。

ウチは親戚だけ連絡すればいいから今日の夜まで待ってみるって言ったんだ。

円、一体どうしてこんなことしたんだ。

招待状だって出してしまったし…
結婚を取りやめる事がどんなに大変かわかってると思ってた。」

「ごめんなさい。

出て行くときは追い詰められてて
何も考えられなかったの。」

「それで結婚はどうするんだ?」

ストレートに聞かれると円は戸惑ってしまう。

だが、結婚生活に不安はあっても真蔵と一緒になりたい気持ちは変わらなかった。

「結婚します。」

「わかった。
真蔵くんにすぐに連絡しなさい。」

円が連絡すると真蔵はかなり怒っていた。

「円!いきなり居なくなるなんてどういうつもりだ!」

思い切り怒鳴られて円は必死で謝った。

「もしかして式場キャンセルしちゃった?」

「してない!お前が帰ってくるって信じてたから。

ウェディングプランナーの鈴木さんから
何度も連絡貰って…お前は病気で寝てるって言ってある。

だけど結婚式のリハーサルもまだだし、
細かい打ち合わせと段取りを説明したいって言われて
前日しか時間が取れないって話したから
明日お前が戻らなかったら体調を理由に取り止めるつもりだった。」

「ごめん。」

「結婚するんだよな?」

「うん。」

そして次の日結婚式の打ち合わせやリハーサルをして
無事に結婚式を当日を迎えた。

円はすごく緊張していた。

「大丈夫か?」

真蔵が心配そうに何度も円を見にきた。

「もう逃げたりしないから大丈夫だよ。」

そして真蔵は円を抱きしめる。

「幸せになろうな。

やっとこの日が来たんだ。」

円はにっこりと頷いた。

真蔵に抱きしめられると緊張がほぐれて行く感じがした。

ドアをノックされて2人は慌てて離れる。

「それでは新郎様、先にお願いします。

ご新婦様はお父様と後から入りますのでこちらへ御願いします。

そして結婚式が始まった。

円は父と腕を組み、入場した。
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