純情シンデレラ
自分が課長さんの顔をじーっと見ていることに気がついた私は、呪縛を解くように、パチパチ瞬きを繰り返した。
「え、っと、今日は別件で出社していたんですけど、もう終わりました」
「そうだったんだ。あぁよかった。少なくとも僕たちのためにわざわざ休日出勤をしてくれたんじゃないと分かってホッとしました」
「そうなんですよ。見上は当社の電算課の者でして」と大津課長が補足説明をしてくれたにも関わらず、課長さんは私の顔を見たまま「そうですか」と言った。
整った目鼻立ちに、ちょっと茶色気味な髪はフワフワ・フサフサしてて。
物腰といい、話し方といい、まるでこの人はスーツを着た王子様みだい。
「あなたは“みかみ”さんと言うんですね。僕は有栖川建設の有栖川志朗です」
「え。有栖川さんって・・・」
「お察しの通り、有栖川建設は家族経営の会社なんですよ。だから今まで建築関係の仕事をしたことがない26の僕でも、課長という役職に就かされているわけ」
「あ・・そう、ですか」
「志朗。そんなことを今ここで、このお嬢さんに言う必要はないだろう?」と、たしなむように言った部長さんに、有栖川の課長さんはやっと視線を移すと、大げさに肩をすくめて「すいません」と謝った。
「え、っと、今日は別件で出社していたんですけど、もう終わりました」
「そうだったんだ。あぁよかった。少なくとも僕たちのためにわざわざ休日出勤をしてくれたんじゃないと分かってホッとしました」
「そうなんですよ。見上は当社の電算課の者でして」と大津課長が補足説明をしてくれたにも関わらず、課長さんは私の顔を見たまま「そうですか」と言った。
整った目鼻立ちに、ちょっと茶色気味な髪はフワフワ・フサフサしてて。
物腰といい、話し方といい、まるでこの人はスーツを着た王子様みだい。
「あなたは“みかみ”さんと言うんですね。僕は有栖川建設の有栖川志朗です」
「え。有栖川さんって・・・」
「お察しの通り、有栖川建設は家族経営の会社なんですよ。だから今まで建築関係の仕事をしたことがない26の僕でも、課長という役職に就かされているわけ」
「あ・・そう、ですか」
「志朗。そんなことを今ここで、このお嬢さんに言う必要はないだろう?」と、たしなむように言った部長さんに、有栖川の課長さんはやっと視線を移すと、大げさに肩をすくめて「すいません」と謝った。