純情シンデレラ
有栖川建設の部長さんと課長さんに飲み物をお出しした土曜日、営業の大津課長や石狩さんに迷惑をかけてしまったかもしれないと思っていた私は、月曜日の朝、仕事が始まってすぐに、営業フロアへ行った。

「とんでもない!迷惑かけたのはこっちの方だよ。ホントにすまなかったね、見上君」
「いえ・・」
「有栖川の志朗君は、あの通り、お調子者なところがあってねぇ。フランスなんぞに2年もいたから、若くて可愛い女性を見ると、声をかけずにはいられなかったんだろうなぁ。でも君が帰った後は、何事もなかったかのように真面目に仕事の話をしたから」
「そうですか。それを聞いて安心しました」
「まぁ見上君は、今後も仕事で関わることはないから。偶然会うことでもない限り、あちらさんも忘れてんじゃないか?」と言ってハハッと笑う大津課長に合わせるように、私も顔に笑みを貼りつけると、営業フロアを後にした。

松本さん、いなかった。
もう外回りに出たのかしら・・・。

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