純情シンデレラ
「あんたは勘違いしてる上に、俺の手を掴んだことで、俺が痴漢野郎だと自分で勝手に決めつけている。早とちりもいいとこだ。大体、俺がやったって証拠でもあるのか？え？俺があんたの尻を触ってる所を、あんた自身は見たのか？」
「そ、それは・・・」

私を追求する男性と、私の正面に座っている駅長さん、そして私の斜め向かいに座っている駅員さんの視線が、私に集中している。
まるで「この後の対応全ては、私の答えにかかっている」と言わんばかりに。

確かに、私はこの人が触ったという証拠がない。
だって、あの人の多さでは、ふり向くことすらままならなかったから・・・。

私は「・・・見てません」と正直に呟いた。

あぁ。私ったら！
肝心な、そして大切なところを確認もせずに、この人がやったと勝手に決めつけてしまった・・・。

自分のふがいなさにいたたまれなくなった私は、俯いて男性陣―――特に隣の男性―――からの視線を逃れた。

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