純情シンデレラ
「おっ。“噂をすれば”だな」
「何の噂ですか」
「良い噂だよ。4日にある試合の応援に来てほしいと、見上君に頼んでいたところだ。それでおまえは?電算(うち)に何か用か」
「社内報を持ってきました」
「もうできたのか。早くないか?」
「今月はゴールデンウィークが入るので、若干前倒しで配布しています」
「だよなぁ。ついこの間、先月のをもらったばかりだと思ってた」と言いながら、社内報をざっと見た上野課長は、すぐに目線を上げると、「そう言えば見上君も、出(いずる)の手伝いをしてるんだよな」と、思い出すように言った。

「あ、はい・・」
「あれから大丈夫だったか」
「はい。柳谷駅にお父さんが迎えに来てくれてて。一緒に帰りました」
「そうか」

家に着いた途端、倒れ込んでしまったことは言わなかったけれど、「今日は大事を取って休むかと思った」と松本さんに言われて、私はドキッとした。

やっぱりこの人は、私がひどい偏頭痛を起こしていたことを見抜いていたんだ。

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