純情シンデレラ
上野課長も立ち上がると、「これも仕事だ。気にするな」と言いながら、松本さんの逞しい二の腕を、ポンポンと二度、軽く叩いた。
それを機に、やっと頭を上げた松本さんを見ながら、私は密かに感心していた。

自分がしたことじゃないのに、自分がしたことのように抱え込んで、上野課長に謝るなんて・・・やっぱり松本さんは、直線的に真面目な人だ。

「第一、おまえがしでかしたヘマじゃないだろ」
「そうですが」
「この件はわたしに任せろ。見上君は、空いた時間でいいから、社内報の過去データを拾い集めてくれ」
「分かりました」

この件を教訓に、今後、社内報のデータが入っているフロッピーは、松本さんと私、そして上野課長の3人が、それぞれ1つずつ持つことにした。
万が一、また松本さんのフロッピーが狙われたとしても、上野課長か私のがあるから、また一からやり直し、ということにはもうならない。
フロッピーの保管場所を教え合った私たちは、このこと―――データが削除されたことも含めて―――は絶対、誰にも言わないと取り決めて、応接室を後にした。

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