純情シンデレラ
「“疑惑だけで罰することはできない”と、日暮(ひぐらし)警部も言ってることですし。今日のところはこのまま・・何か」
「いぇ・・・あっ!あのぅ。会社に連絡を入れたいので、お電話をお借りしてもいいでしょうか」
「どうぞどうぞ。そこの机にある電話、使ってください」と駅長さんに言われた私は「はい。すみません」と答えて立ち上がった。

初出勤の日から遅刻だなんて!
しかもこんな理由で・・・って、自分自身が蒔いた種がほとんどなんだけど・・・。
とにかく、会社には「遅れる」と連絡をしておかなければ。

「・・・あ。もしもし。おはようございます。私、本日からそちらの電算課に勤務させていただくことになっております、見上恵子と申します。恐れ入りますが、電算課の上野課長に取り次いでいただけますでしょうか」

上野課長に取り次いでもらうのを待っている間、あの男性は、私をじーっと見ていた。
しかも少し驚いているような顔をしているように見える。何故だろう。

< 13 / 530 >

この作品をシェア

pagetop