純情シンデレラ
ってちょっと待ってよ!
私ったら一体何考えてるの?!

それって・・・ないものねだり、じゃない。

手に入らないと分かっているものを欲しいと思っても、結局手に入らない。
入ることはない。
それを世間では「ないものねだり」と言うのであって、私が考えていたことは、まさにそれ・・・。

私は、自分を反省するように俯くと、ハァと深いため息を一つついた。

もう帰った方がいいのかもしれない。
ここにいても・・・悲観的なことばかり考えてしまうから。

今度は軽く息を吸いながら肩を上げ、吐くときに肩を下げた私は、応援席から立ち上がった。
そして踵を返して出入口の方へ歩きだしてすぐに、わぁっと歓声が沸いた。

あれは松本さんが試合をしているところあたりじゃないかしら。
つい後ろをふり向いてしまった私は、驚きで目を見開いた。

松本さんが・・・倒れてる。
と気づくと同時に、「技あり!」という審判の声と「今のは反則よ!」という姫路さんの声が、微かに私の方まで聞こえてきた。

技ありでも反則でも、そんなのどっちでもいい。

もう帰ろうと思い、実際帰り始めていたはずなのに。
場内に、白いタオルを投げようとしている姫路さんと、それを止めている上野課長を視界の隅にとらえながら、私の足は、出入口とは反対の、松本さんが試合をしている方へ向かっていた。

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