純情シンデレラ
私も負けじとその場に踏みとどまって、松本さんの視線をしかと受け止める。

「君には“ペースを落とせば自力で歩ける”と事実をちゃんと言った」
「他の“事実”は言わなかったですよね」
「それを君に言えば、余計な心配をかけると思ったからだ。実際、君は課長から4・5日休むと聞いて、ここに来たんだろう?それは俺のことが心配だったからじゃないか」
「なっ・・ちょっと、話をすり替えないで!」
「すり替えてない」
「じゃあ“連休明けには出社する”のどこが“事実”なんですか」
「俺はそのつもりだ。このくらいの怪我で会社を休む気はない」
「・・・頑固者」と私は呟くと、ハァとため息をついた。

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