純情シンデレラ
「・・・なんかいろんな偶然がありまして・・・はい。俺も一緒なのでご心配なく。会社には、そうですね・・あと20分程・・30分以内には着くので。申し訳ないんですがこの電話、営業の方に回してもらえますか・・・・・松本です・・・・・いや、色々あって。今電算の子と一緒なんです・・・いえ、今日から勤務の新人だそうで・・・あぁそうそう、そんな名前だったかなぁ・・・・・そうですね、ハハッ・・・30分以内には会社に着きます・・・はいっ、分かりました。おつかれさまです」と言って受話器を置いた松本さんは、俯いたままフーッと深いため息を一つついた。

「お嬢さんは今日が初出勤の日だったんですなぁ」
「あ・・そうです」
「まぁこれに懲りずに、これからもJRをご利用ください。我々も出来る限りの対処は致しますから」
「はい・・・あ、そうだ。あのぅ、駅長さんは、日暮警部がお好きなんですか?」
「ええ。そうなんですよ。あの人情味のあるところがねぇ、本当に身近にいる人って感じがして」
「そうですか」

今日家に帰ったら、お父さんに話そう。
ここにも日暮警部のファンがいることに、きっと喜ぶだろう。

「よっし!それじゃあ俺たち行きます。色々お騒がせしてすみませんでした」
「あ・・本当に、すみませんでした」
「いやいや。お勤めがんばってください」

松本さんが駅長さんたちに頭を下げて一礼したのにつられるように、私も一礼をすると、私たちは駅長室を出た。

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