純情シンデレラ
きっと、姫路家行きつけのお肉屋さんで買ったのだろう。
全国的に知られている和牛のブランドネーム入りシールが、パッケージに貼られたこのお肉は、かなり質が良さそうに見える。さすがだ。
でも、美麗で色白で華奢なあの姫路さんが、このお肉を持って、ここに来たのかと思うと・・・やっぱり負けたという気がしてならない。

「肉をもらう気もなかったが、もらってくれなきゃ捨てると言われたんだ。肉は肉だと腹をくくって、肉だけもらうと礼を言ってサッサとドアを閉めた。それだけだ」
「べ、別に、私に弁解なんてしなくても・・・あ、そうだ。後でこれ、焼きましょうか」
「俺が食べてもいいのか?」
「いいも何も、これをもらったのは松本さんでしょう?」と私は言いながら、お肉を台所のカウンターに置いた。

「焼く前に室温に戻しておきますので、ここに置いといてくださいね」
「分かった。君に任せる」

< 169 / 530 >

この作品をシェア

pagetop