純情シンデレラ
「まあいい。どうせ同じ職場だ。俺が痴漢なんかする男じゃないってことは、そのうち君にも分かる」
「え?でも、滅多に会わないんでしょ」と私が言ったとき、スピードが落ちていた電車が停まった。

扉が開いたのと同時に、私たちを含めた何人かが、電車を降りていく。

「ああそうだな。それでも、俺のことを知っていけば分かるさ」
「あ・・・そぅ、ですか」
「その時は君に“疑ってすみません”と謝ってもらうからな」

今、謝った方がいいのかな・・・まだ疑いが完全に晴れたわけじゃないけど。
でも、この人とは奇しくも同じ職場で、課は違うけれど社会人としては先輩に当たる人で、「もう二度と会うこともない」と断言できる人でもないから・・・今後のことを考えて、ここは一つ、私から折れて・・・ほら。「負けて勝つ」って言うじゃない。
でも今謝っちゃうと、なんか・・・悔しいと思ってしまうのは、私がそれだけ頑固で幼稚な考えの持ち主だから?

ってええいっ!
そんなことばかり考えてるなら、もう謝って終わりにしよう!

< 22 / 530 >

この作品をシェア

pagetop