純情シンデレラ
「あのっ。ごめ」と言いかけた私を、松本さんが大きな手で制した。

「今謝らなくてもいい。それに俺は、“心にもない事を言いたくない”と思ってる君からの謝罪を今聞いても、全然嬉しくない」
「な・・・」

何よ、この人!
まるで・・・まるで、私の心の内で繰り広げられている葛藤を見透かしてるみたい。
と思ったら、別の意味で悔しさが込み上げた。

松本さんは少しフンと鼻を鳴らすと、また私の方へ顔を近づけた。
しかも、その顔はニヤニヤしている。

何よ、この余裕は!ムカつく!!

「悔しかったら俺のことをもっと知ることだ。それが一番の近道だろ」
「はぁ?“近道”って・・どういう意味ですか」
「そのうち分かるさ。とにかく、これからよろしくな」

松本さんのガッシリしている大きな体から、なぜかそれとは似つかわしくない、爽やかな雰囲気が発せられているように感じて。
私はうつむき加減で「・・・こ・・こちら、こそ。よろしく、おねがい・・します」とゴニョゴニョ言うのが精一杯だった。

さっきまで癇癪起こしてたのに、たちまちドキドキしてしまって。
どうしたんだろ、私。

私は、コロコロと目まぐるしく変わる自分の感情に、なかなかついていけなかった。

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