純情シンデレラ
幸い有栖川さんは、私の口調に乗ってくれたようだ。
浮かない顔から優しい笑顔になった有栖川さんは、いつもの朗らかな口調で、「何だい?聞かせてくれよ」と言った。

「私、ずっと気になってたんです」
「何が」
「馬車に乗ったときにさかのぼるんですけど。最初はやっぱり怖さの方が先立って、なかなか乗ろうとしない私に、お母さんがこう言ったんです。“恵子はただ、乗るだけでいいんだから”って。それで私は決心がついて、やっと馬車に乗って・・・。それからしばらくの間、お母さんが言った言葉が、心に引っかかっていたんです。なんでだろうと考えて・・・」
「答えは出たのかな?その様子じゃ、答えは出たようだね」と言った有栖川さんに、私は頷いて肯定した。

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