純情シンデレラ
「私の方から誘っておきながら待たせてしまって。すみません」
「俺が早く来すぎただけだ」
「どれくらい待ってたんですか?」
「たぶん君が乗ったと思う列車より1本早いので来たから、20分くらいだろ」
「そうですか・・・あ。松本さん。そのバッグは」

私は、松本さんが肩にかけている黒いボストンバッグを指さしながら聞いた。

「今日は4時から子ども柔道の練習があるんだ」
「えっ?そうだったんですか!」
「君との用件が何時までかかるのか分からんから、一応持ってきたが。それまでに終わる用事か?」
「あ、はい。大丈夫です。すぐに、とは言えないけど、そうですね・・遅くてもお昼過ぎには終わるはずです。もし終わらなくても、目星はつけられると思うし。今日はそれで十分なので」
「そうか。目星か・・」
「じゃあ、時間は有効に使った方がいいですね。行きましょう」と言って歩き出した私を、松本さんが「けんじょう君」と呼び止めた。
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