純情シンデレラ
ここ・・今、私たちは公共の乗り物(バス)に座ってるんだから、こんなことしちゃ・・・恥ずかしい!
と思ったのは、一瞬だけだった。

松本さんは、私が泣きそうになっていることが分かってる。
そんな私を、友人として励ましてくれている。
だから私を自分の方に抱きよせた。
自分の心臓の鼓動を、私に感じてもらうために―――。

少しだけでもいいから、この場は松本さんに甘えることにした。
両目を閉じると、この人の温かさをより感じる。
規則正しく打つ心臓の鼓動のリズムも、何となく感じる・・・。

私・・・変わっても、ちゃんと生きてる。
ありがとう、松本さん。私のことを嫌わないでくれて・・・。

生みの両親が事故で亡くなった直後からリハビリをしていた頃に、もう十分って言えるくらいたくさん泣いたせいか、ここ10年くらいは、ちょっとやそっとのことくらいじゃ涙が出なくなっていたのに・・・自分でも気がつかないうちに脆くなっていた心をちょっと松本さんに委ねただけで、久しぶりに私の目から涙が流れ出た。
すかさずメガネを外した私は、松本さんにもばれないよう、素早く涙を手で拭いた。

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