純情シンデレラ
バスから降りた私たちは、お互い無言で歩いた。
行き先は同じ自動車販売店、そして二人並んで歩いているのに、私たちの間にちょっと距離ができたような気がするのは、バスを降りる前に、有栖川さんのことを話したからなのだろうか。

でも松本さんの“誤解”を解くためには、有栖川さんのことを話す必要があったし。
それに、この人は色々と思っている(勘違いが大半)だろうけど、今は私のためについて来てくれている。
さっきはガッシリした肩に寄りかからせてくれた・・・。

「なぜ」
「はいっ?」
「なぜ今日、俺を連れて行こうと思ったんだ?結果だけを言うんだったら、俺を販売店まで連れてくる必要はなかったじゃないか」
「それは・・・車を一緒に選んでほしかったんです。私は免許取りたての上に、車に関しては素人だし」
「俺もそんなに詳しくないぞ。たぶん有栖川の方が詳しいと思うが」
「そうかもしれません。けど・・・」

肝心な部分がいまだに松本さんに伝わらないことに、もどかしさを感じた私は、息を吸って・・吐いた。
そうしてまた、大柄な松本さんを、しかと見上げた。

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