純情シンデレラ
「姫路に会えたんだな」
「まっ、松本さん・・は・・」
色々と言いたいことがあるはずなのに、何を言ったらいいのか分からなくて。
口をつぐんでしまった私の顔を、運転中の松本さんが目だけ動かして、チラッと見た。
まるで、そこにまだ私がいると確認したみたいに。
「俺の親父は過疎化が進む村で診療所を開いていると、前に言ったよな」
「え?あ、はい」
「村に一軒しかない診療所だから、親父の仕事は赤ん坊を取り上げることから―――村での出産は減り続けているが―――死体の解剖まで、それこそ多岐にわたっているんだ。おかげで俺は、子どもの頃から“生と死”というものを身近に感じながら過ごしてきた。それでも、もうすぐ死ぬと分かっている相手を目の前にしてしまえば、いまだに同情心が湧く。これは誰でもそうなるものさ。そして誰に対しても。見知った人ならなおさらだ。だから姫路に対して同情心を抱いたことを、君自身が責める必要はないんだ。たとえあいつから怒られても、“同情するな”と言われても、それで同情心が止まるわけじゃない。人っていうのはそういう生きものだからな。同情してもいいんだ。ただ、その気持ちを受け取るか受け取らないか、又はどれくらい受け取るかは相手が決める。それだけのことだ」
「まっ、松本さん・・は・・」
色々と言いたいことがあるはずなのに、何を言ったらいいのか分からなくて。
口をつぐんでしまった私の顔を、運転中の松本さんが目だけ動かして、チラッと見た。
まるで、そこにまだ私がいると確認したみたいに。
「俺の親父は過疎化が進む村で診療所を開いていると、前に言ったよな」
「え?あ、はい」
「村に一軒しかない診療所だから、親父の仕事は赤ん坊を取り上げることから―――村での出産は減り続けているが―――死体の解剖まで、それこそ多岐にわたっているんだ。おかげで俺は、子どもの頃から“生と死”というものを身近に感じながら過ごしてきた。それでも、もうすぐ死ぬと分かっている相手を目の前にしてしまえば、いまだに同情心が湧く。これは誰でもそうなるものさ。そして誰に対しても。見知った人ならなおさらだ。だから姫路に対して同情心を抱いたことを、君自身が責める必要はないんだ。たとえあいつから怒られても、“同情するな”と言われても、それで同情心が止まるわけじゃない。人っていうのはそういう生きものだからな。同情してもいいんだ。ただ、その気持ちを受け取るか受け取らないか、又はどれくらい受け取るかは相手が決める。それだけのことだ」