純情シンデレラ
『あたし、あなたの名前なんか知っても知らなくてもいいの・・・』
『あたしから見たら“その他大勢”に過ぎない人たちが、あたしの美しい外見や、社長令嬢という恵まれた地位、そしてお金持ちという境遇に嫉妬しているだけなんですもの・・・』
『好きなだけ妬けばいいわ。あたしは気にも止めない。“好き”とか“嫌い”という感情すら湧かない・・・』

・・・あのとき、社員食堂で姫路さんが言った言葉が、今、私の脳裏に思い出される。

いくら美しい外見や、社長令嬢という地位や、お金持ちという恵まれた境遇の中で暮らしていても、姫路さんにはお金では買えないもの、決して手に入らないものがあった。
それは、健康な体。
姫路さんに嫉妬している人たちが実際いたように、姫路さんは健康な体を持っている私たちのことを羨ましく思っていたのだろうと思うと、急に切なさが込み上げてきて。
私の目にはまた、涙がじんわりと浮かんでしまった。

< 408 / 530 >

この作品をシェア

pagetop