純情シンデレラ
そして素子さんは、自分がつけている腕時計と、食堂の壁にかかっている時計をチラッと見た。

「今日は二人とも来ないわね」
「 “来れたら(食堂に)来る”って、宇都宮さん言ったんでしょ?」
「うん・・。きっと外回りが長引いたから、そのまま外でお昼済ますんじゃないかな、二人とも」

最後の「二人とも」をやけに強調して言った素子さんは、「だから気にしないの」と言って、私の肩を優しくポンと叩いた。
そんな素子さんに、私は弱弱しい笑みを返しながら、心の中で小さく巣食っていた「松本さんに避けられている」という疑惑が、少しずつ大きくなっていくのを感じた。

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