純情シンデレラ
最初は幻かと思った。
だって私、ずっと・・・松本さんに会いたいと思っていたから。
会って、元気なあの人の姿を見て安心して・・・胸の内にあるわだかまりを、思いっきりぶつけたい!
そして・・そして、壁のような強固であろう、あの人の胸板を、グーでポカポカ叩いて・・・も、あの人はビクともしないだろうな。
私、非力だから・・・。

そんなことを考えながら、松本さんが立っている方向へと歩いていた私は、ハタと足を止めた。
「果たして松本さんは、私を待っているの?」という肝心なところに、私はやっと気がついたのだ。

・・・あの人は今の今まで、私を避けていた・・はず。
だから私を待ってるなんてありえないでしょ。
あぁ、向こう見ずにあの人のところへ行ってしまう前に気づいて良かった・・・と思いながら、私が一歩前へ踏み出したとき。

松本さんも、一歩、足を踏み出して。
そのままズンズンと私の方へと歩いてきた。

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