純情シンデレラ
台所に移動した私が「イチゴも買ってきたんですよ。アイスと一緒に食べますか?」と松本さんに聞くと、彼がいるベッドの方向から「ああ。食べる」という声が聞こえたので、私はいそいそとイチゴを洗ってヘタを取り始めた。
そして食べやすい大きさに切ると、それらを見た目レトロ調の、古めかしいガラスの器に入れた。

私は、イチゴが入った器とアイスクリーム、スプーンとフォークと、ガラスのコップ入れた麦茶をお盆に乗せて、ベッドまで運んで行った。
最初に麦茶を一気に飲み干した松本さんは、「どうぞ。召し上がってください」と言っても、アイスもイチゴも食べようとしない。

「いらないんですか?もう寝た方が・・」
「君が食べさせてくれよ」
「えっ!?わ、わたし、が!?」
「俺は病人だぞ」と言いきった割には、元気そうに見える。

でもそう見えるのは、薬が効いてるからかもしれない。
それに・・・この人が病気(風邪だけど)なのは本当のことで、本当はこの人、自分で食べる「元気」や「力」がないのかもしれない。

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