純情シンデレラ
「それで?」
「えっ!?な、何でしょうか」
「俺に用じゃないのか。それとも他の連中か」
「あ・・あぁ。これを。出来上がったので持ってきました」と私は早口に言うと、両手に持っていたフロッピーと、透明ファイルに入れたA4用紙のフォーマットを1枚、松本さんの胸板に向かって押しつけた。

「なにっ!?もうできたのか。急ぎじゃないと言っただろ。無理に優先させたのか?」
「え?いえっ。してませんよ。ホントに。頼まれたのは昨日でしたから・・・」

1時間もあれば余裕でできると言いたかったけど、言うのは止めておいた。

「あの。出来上がりはそちらですけど。これでいいでしょうか」
「あぁ」と松本さんは言いながら、ファイルに入ってるA4用紙をじっと見て、すぐに「いいよ」と言ってくれた。

「その用紙、さっきの・・で、もしかしたらグチャッとなってしまったかもしれません」
「少しくらい構わん。サンプルだしな」
「そうですか。良かった。フロッピーディスクの保存名は“ファックス送信用書式”にしておきました」
「うん。ありがとう、けんじょう君。助かったよ」
「・・・いえ」

あとは「みかみ君」と呼んでくれたら・・・と一瞬だけ思ったものの、今のところ、呼び間違えてるのは、松本さんただ一人だけなので、まぁいいやと思い直した。
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