純情シンデレラ
「それじゃあ私はこれで」
「待ってくれ。もう一つだけ」
「・・はい?」
「君が休みだと分かっている上で、図々しく頼むんだが。今度の土曜、出社してくれないか。社内報の入力をしてほしいんだ。量はそんなにない。君の技量なら、1時間もあれば十分なはずだ。だが、すでに他の用事があるなら、そっちを優先してもらって構わない」

他の用事か・・・。実はあるのよね。
でも、珍しく低姿勢な松本さんを見ていたら、断るのが気の毒だ。
マックス1時間くらいの量なら、すぐ終わるだろうと判断した私は、「分かりました」と答えた。

そしてチラッと腕時計を見た後、もう一度「それじゃあ私はこれで」と言った私に、「デートか」と松本さんが聞いてきたので、私は少々睨みながら、「会社のいけばな教室に行くんです」と、正直に答えた。

「ああ。今日はその日だったか」
「松本さんは今日残業になるでしょ?締日だから」
「そうだな。だがいけばなが終わる頃には俺も終わってるだろう。今日は君を家まで送る」

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