純情シンデレラ
あれは絶対冗談だと思っていたのに。
松本さんは本当に、私を待っててくれた・・・のかどうかは、正直分からない。
でも松本さんは、私と目が合った次の瞬間には、私の方へズンズン歩いてきてくれた。
おかげで、あっという間に私たちの距離は縮んだ。

「お・・つかれさま。です」

ずっと見つめ合っているのもヘンだと思って言ったのが、このセリフとは・・・。
松本さん、きっと呆れて声も出ないんだ。
でも他に何て言ったらいいのか分からない!

心が落ち着かなくて、下がっていないメガネのフレームに手を置こうと、左手を花束から外したのと同時に、松本さんの大きな手が、そこに伸びた。
と思ったら、サッサと私から花束を奪い取った。

「えっ?ちょっと・・」
「これは俺が持つ。重いだろ」
「そんなことないです」と意地になって言い張るむくれ顔の私を、松本さんはニヤニヤしながら見て一言、「行くぞ」とだけ言うと、スタスタ歩き出した。

< 76 / 530 >

この作品をシェア

pagetop