純情シンデレラ
「俺が言ったこと聞いてんのか」
「そんなこと信じません」
「・・おい。いい加減手ぇ離せ。じゃないと」
「なんですか」
その人が、私にグッと顔を近づけた。
私は、近づいた彼のいかつい顔を引き続き睨みながら、彼の威嚇を真正面から受け止めた。
痴漢の正体がこうして見えた今、不思議と怖さはどこかへ行っていた。
「本物の痴漢野郎は、これに乗じて次の駅で降りるぞ」
「そんなこと、私が信じるとでも思ってるんですか。大体あなたは、真犯人を知ってるんですか?知らないんでしょう?だから“この人だ”とも言えない。第一、真犯人なんて最初からいない。だから」と私が言ってるところで、電車が停まった。
扉が開いたのと同時に、周囲の乗客がゾロゾロ降りていく。
「私たちも降りましょう」
「あぁ?俺の降りる駅、ここじゃねえよ!」
「私もです」
「そんなこと信じません」
「・・おい。いい加減手ぇ離せ。じゃないと」
「なんですか」
その人が、私にグッと顔を近づけた。
私は、近づいた彼のいかつい顔を引き続き睨みながら、彼の威嚇を真正面から受け止めた。
痴漢の正体がこうして見えた今、不思議と怖さはどこかへ行っていた。
「本物の痴漢野郎は、これに乗じて次の駅で降りるぞ」
「そんなこと、私が信じるとでも思ってるんですか。大体あなたは、真犯人を知ってるんですか?知らないんでしょう?だから“この人だ”とも言えない。第一、真犯人なんて最初からいない。だから」と私が言ってるところで、電車が停まった。
扉が開いたのと同時に、周囲の乗客がゾロゾロ降りていく。
「私たちも降りましょう」
「あぁ?俺の降りる駅、ここじゃねえよ!」
「私もです」