純情シンデレラ
「見てたのか」
「見てたっていうか・・・見えたんです」
「そうか。一緒に飯を食べないかと姫路から言われたが断った。先約があったしな。先約というのは、もちろん君を家まで送ることだぞ。仮にそれがなくても、あいつとは仕事以外のことまで関わる気はない」
「じゃ・・じゃあ、私を送った後、姫路さんと会う約束を交わしたりとか・・」
「何故そうする必要があるんだ?あっちがそうしてくれと言ってきても、納得いく事情と理由がない限り、俺がそんなことをする義務も義理もないはずだが」
「・・・そうですか・・。そうですね」

私は、果てしなく繰り広げられていた自分の想像よりも、今、私の目の前にいる松本さんが言った言葉を信じる。
松本さんがそう言ったときの表情や声のトーンには、想像にはない「真実」を感じたから。

思わず私の両口角がキュッと上がったことで、それまで自分が、唇を引き結ぶようにムスッとしていたことに気がついた。
私ったら、一体何に怒ってたの?

・・・あれ?
これって・・・「怒り」の感情なの・・・?
一体私は何に・・誰に対して怒ってたの?

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