【完】最後の恋
「早く行かないと課長待ってるよ。
さっ、頑張っておいで」
とゆいに背中を叩かれ、アキは不安そうな顔でオフィスを出て行った。
ゆいは小さな声で
「頑張れ!アキ」と呟いた…。
ドキドキしながら待つこと一時間。
アキはオフィスに戻って来た。
「アキ、プレゼンどうだった?」
アキの顔は緊張したまま…
『分かんない…
今、最終審査してる…』
「そっか、大丈夫だよ。絶対通るから」
『そうだといんだけど…』
アキらしくない弱気の発言に、ゆいは笑っていた。
「元気ないなぁ…。
アキは頑張ったんだから大丈夫だって」
とゆいに励まされ、いつものアキの顔になり、また仕事に戻った。
デスクの貯まった書類を、アキは片付けながら、心にぽっかり穴が空いた気がした…。
桜田が来てから、すぐにプロジェクトのメンバーになり、今日のプレゼンのために走り続けて来た一ヶ月半…
この一ヵ月半がアキにとって、とても長く、険しい時間だった気がする…。
それだけにやりがいもあり、楽しい時間でもあったのだ…。