爆走姉貴ー星路の苦悩ー
息を切らせる俺の隣を、涼しそうな顔でキックボードを走らせる美月。

何てこ慣れた軽やかな走りなんだ!

乗り慣れてる!
絶対、乗り慣れてる!




俺はお前の様になりたくねぇと心から思うぞ!




いや!
今はそんな事を思ってる場合じゃない!
とっととこの悪魔をお祓いしないと!


けど、どうやって?!



坂道!
ダメだ、俺もキツイ。

裏道!
いや…美月ならば裏道さえも知り尽くしていそうだ。


遠くだ!
美月が追いつけない速さのもので遠くに行くしかないっ!







「星…路くん!私、もう無理…」


美鈴は足がふらつき始め、すでに脇腹を押さえてる。
きつそうだ。



「頑張れ!美鈴!」

美月から逃げるんだ!



「美鈴ちゃん!今、星路の汚れた手を離せば、人生の苦しさから解放されるよ?」
「嫌な言い方するなぁ!」



明かに美月の方が汚れてんだろ!






どうする!
どうする!俺!





考える俺の視線の先に、路肩に停車し、客を降ろすタクシーが。



あれだぁ―――!!






美月を巻け、尚且つ遠くに逃げる事ができるものだ!




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