明け方の眠り姫
「さすがですね。何せ夏希さんは、好意を抱いた男性がある日いきなり姿を消して、とても心細い思いをされたんですし……そのくらいの誠実さを持って答えなければ男として立場もないでしょう。要くんはさすが、よくわかってらっしゃいますね」
「う、うん、勿論……誠意を見せなきゃね……こ、子供じゃないんだし」
居たたまれない空気の中で、コーヒーを口に運んだがさっぱり味がしない。
それでも程よく温くなっていたそれを一気に飲み干すと、今度は僕が逃げ出す番だった。
「じゃ、じゃあ! 僕これから大変だから、帰ります」
「はい、頑張ってくださいね」
にっこりと笑顔で見送られたが、それは黒いものにしか思えない。
ちくしょー!
見てろよ、すぐにフランス語ぺらっぺらになってやるからな!
実家に戻った僕が、すぐさまUキャンのフランス語講座の資料を取り寄せ、それから毎日図書館に通って美術の勉強をしたのは、言うまでもない。
いじめっこ、こわい。
End...


