明け方の眠り姫
さー……とこれからの道のりを考えて、舞い上がってた気持ちが現実に戻ってくる。
そうだ、今のままでは僕は、夏希さんの役に立てないどころか足手まといにしかならないのだ。
フランス語もままならない、英語すら上手くヒアリング出来なかった。
更には絵画の知識も皆無だ。
夏希さんの食生活や掃除の世話ならできるけど、それではただのヒモではないか。
「勿論、その辺りのことも考えておられたんでしょう?」
「とっ……当然だよ、うん!」
慌ててそう答えたけれど、内心はめちゃくちゃ焦っている。
何にも考えられていなかった自分の甘さに、汗がだらだら流れてきた。
っつーか……マスター今、わざとやってる?
もしかして怒ってる?
仕返し?
綾ちゃんを苛めた仕返しなのか。