ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
学校内で綾己とのキスは図書室だけ。
ふと我に返ると 耳に届く生徒達の声。
戻らなきゃ…
綾己、また来るね…
図書室から出て鍵を職員室に返して教室へと向かうと、階段から上がってきた憂臣と隣クラスにいる学年トップのモテ女、小椋 玲羅 (れいら)が一緒にいた。
後ろ姿だけで お似合いのカップルに見える。
真逆な私の何が憂臣を惹き付けたのか不思議でたまらない。
「 里~桜! おっはよ!」
弥生…
「 おはよう 」
弥生の私を呼んだ声に 少し前を歩く憂臣の耳に聞こえたのか 後ろを振り向き私を見る。
それに気づいている私は知らないフリして弥生と話していた。
「 昨日、ノートありがとね、わかりやすかったよ~ これでテストは赤点にならないね 」
「 単純だね、弥生は… 」
視界に憂臣が私の方へ来るのが見える。
一緒にいる玲羅も憂臣と並び来る。
「 里桜… はよ 」
「 おはよう 」
「 憂臣くん、私もいるけど?」
弥生はそう言いながら気を使って先に教室に行ってしまった。
「 ねぇ、ほんとに憂臣と付き合ってるの?」
私に聞かなくてもいいのに…
玲羅の問いに憂臣が そうだと答えるが玲羅は納得がいかない顔をしている。
モテる女はそれなりにプライドが高く意地もある。
玲羅なら尚更のことだ。
「 玲羅さん、藍沢くんが好きなの?」
「 みんな好きなんじゃない?」
みんな… その みんなは誰?
その中に私がいるのなら消してほしい。