ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
翌日 私はいつもより早く起き、早めの登校をする。
ほとんどの生徒が登校してきていない校舎に教室。
この静けさが好きだ。
私は自分の机に鞄を置いて職員室に向かうと、来ていた学年主任指導員の先生に図書室の鍵を借りた。
手にした鍵を左手に握りしめ 図書室の鍵を開ける。
空気は本の独特の匂いがドアから流れてくる。
この図書室には校内で一番思い出がある。
綾己…
一番奥にある書棚の後ろに入ると、幻を見るように甦る鮮明な記憶。
「 里桜、この棚は難しい書籍ばかりだぞ?読むのか?」
「 まさか、違うよ。綾己の顔を見たかったの… 独り占めしてね 」
「 独り占めか… いいね、じっくり見ていいよ?」
クスッと笑う私へと近づく綾己、 照れ隠しにネクタイを握る私。
ドキドキしながら綾己の唇が重なると、初めてのキスに酔いしれた。
「 ファーストキス… 奪って良かった?」
「 うん… もっと、奪っていいよ 」
「 じゃあ、遠慮なく… 」
二度目のキスは長く、離れがたい甘いキスを交わした。
綾己…
私は指で唇に触れて目を閉じると、綾己が私にキスをしてくれるような錯覚をする。
大好き…