聖なる夜の願い ~ホテル・ストーリー~
「そっか。辛いもんね。遠くにいて会いたい時に会えないし。仕事大変なのに無理して都合合わせて。会ってる時間なんて一瞬なのに、次に会えるのはいつだかわかんないし」
「そういう意味じゃない。辛いのはいい、分かってることだから。それより君は、あの人こと好きなのか?ずいぶん年が上だけど、お金に余裕がるからついて行くんじゃないだろうな」
「なに言ってるの?」
「俺だってこんなこと言いたくない。けど……必死になって働いたって、たいしたこと君にできやしない。俺じゃ、君を幸せにできるかどうか分からない」彼は、うなだれて元気がなかった。
「それで?無理だと思うの?」
「分からない。君といるってことが君を不幸にするかもしれない」
「諦めるの?」
「諦めたくない。でも、他に君のこと幸せにしてくれる人がいるなら、俺じゃなくてもいいかも知れないよ」
「私が、別の人とくっついてもいいってこと?」
「ん……」
聞かなきゃよかった。
だから、何年たってもプロポーズしてくれないんだ。
「全然わかってないじゃない。私がいつ、花束が欲しいって言ったの?いつ、豪華な食事がしたいって言ったの?」
「ええっ?」
「会いたいって言ってるだけじゃないの。会って顔が見たいって言ってるだけじゃないの?他に何か必要だって言った?」
「本当に?」
「何でよ。どうして今まで言ってくれなかったの?」
「だって、今日、言うつもりだったから」
「ん?」
「今日は、クリスマスイブだろ?だから俺、君にプロポーズするつもりだったのに、すべて君が台無しにしたじゃないか。だから怒ってるんだよ」
「ああ、やっぱり私、あなたのこと愛してる。結婚して!」
「ほら、また邪魔した」

