YOU&YOU
<おう!あんりはどこが好きになったの?>

<わかんない。普通に成り行きで笑 絶対コクられてやるって決めてたのに・・・悔しい・・・>

勇太のどこが好きか。よく聞かれる質問だ。
だが、私は本当にわからないのだ。

顔は確かにイケメンだが、顔だけで好きになった訳じゃないし、そもそも小学生のころの勇太はイケメンというよりも可愛かったのだから。
性格なんてとんでもない。優しいとは真逆の世界で生きている人間だ。
むしろ私は、勇太のどこがいいの?と自分に聞きたいくらいだった。

<なんで俺がお前にコクるんだよ汗>

<そうじゃない!付き合うときはそれがいいなーって笑 じゃ、聞きまーす!前の彼女は誰?>

私の妄想の中では勇太がいつか私にかっこいい告白をしてくれて、付き合うハズだったのだ。
そしてもちろんなっちとさっきした話は忘れていない。前の彼女の名前をゲットしなくては。

<お前が知らない人!人の過去を掘るな!嫌われるぞ~>

<くぅ~!ケチ!ってかさ、学校にゆうたの事が好きなコとか沢山いるんじゃない?>

私が知らなくても、なっちが知っていればどんな子か聞くことが出来る。それで勇太のタイプとかも知りたかった。
そして、なっちがさっき言っていた、勇太のことが好きだけど冷たい扱いを受けている子たちが気になった。勇太はその子たちのことをどう思っているのだろうか。

<いねぇよ汗 俺に好かれないとヤバイぞ>

この人は人の好意に気づけない鈍感さんなのだろうか?

<う・・・ひどい・・・でもいるでしょ?小学校の時でもいたんだから笑>

私が知っているだけでも3人はいる。

<いないって!!ほとんどふっちた♪俺になにする?>

<どんだけプレイボーイなんだよ!!なにする?って別にねぇ・・・笑 あ、そうだ!パウンドケーキって食べれる?>

ああ、全員ふって傷つけたからもう誰も勇太なんかに好意を寄せないと・・・なんてひどい奴なのだろうか。
小学生の時はあんなにも可愛かったのにいつの間にかクズになってしまっている・・・

そして、たまたま今日の昼間にパウンドケーキを焼いていたので、明日勇太の家に持って行ってあげようかと思ったのだ。

<食べ物じゃなくて行動にして!食べ物は時間がかかるから>

<どういうことか理解出来ていないのだが・・・え、とりあえずパウンドケーキ食べれる?>

勇太は卵が苦手だ。だが、食べられるものもあるからパウンドケーキは食べられる方の部類か聞きたかったのだ。

<食べれない・・・だから俺が喜びそうな事をすれば好きになってもらえるんじゃん?>

<うっそー最悪!!えー、ゆうたが好きなものとかわかんないよ・・・>

野宮神社のお守りのお陰であろうか、こうして私の9年の片想いは終わりを告げ、私たちは付き合い始めたのだ。
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