ひとつの輝き

「ちょっと美央ここにおれよ。鞄とってくっから」

その後、渉先輩はすぐに戻ってきて「帰ろ」と声を掛けてきた。 

歩く足を止めた先輩は後ろを振り返る。 


「あーそうだ。里佳…美央の担任に一応適当に言っといて」 

「えーっと誰だっけ?」

里佳さんは首を傾げた。


「井上先生」と、あたしは呟く。

「うわっ!あいつが担任かよ」 


渉先輩が顔を引きつりながら声を上げる。 

「えっ美央ちゃん、あの人が担任なの?」

「はい」 

渉先輩は眉を寄せ「あいつうるさくね?」と呟いた。 


確かにうるさい…

人使い荒いし… 

遅刻したら説教ながいし… 


里佳さんは「あー…あの先生と話すの嫌だなー」と言いながら手をパチンと叩いて微笑んだ。 

「龍斗に任せとけばいっか」 



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